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華やかな花や草木に囲まれた装飾的で壮大な場所ではなく、パリ南部にある緑の芝生が美しい庭園で行われた「JUNYA WATANABE MAN」の2012 S/S コレクション。
ジョージ・ハリソンの''My Sweet Lord''と共に現れたモデルが着用した衣服を見れば、そこがとても相応しい場所だったと思わせますね。
モデルは、オーバーオールやパッチワークのシャツなどの服を着て芝生の上をウオーキング...
オレンジ・赤・青・カーキなどの色彩豊かなカラーリングに加え、生地やパターンで遊ぶ氏ならではのユニークな技術は、決して複雑に感じさせるわけではなく気取らないウェアを生み出します。
ガーデニングや陽気なファーマーとも捉えられる、なだらかで穏やかな美学を感じる今回のコレクションは、従来のファッションショーの定義を無視した新しいプレゼンテーションだと思います。
どこか懐かしさを秘めたファッションは、同時に斬新で新鮮な最新のファッションになります。
氏は、コレクションのプレゼンテーションの内容や動機などについて、ほとんど語りません。
それぞれの解釈で新しい感動を与え、想像力をくすぐるファッションこそ「JUNYA WATANABE MAN」の魅力だと思います。
伝統ある男性のスタンダードな衣服に込めた、氏のメッセージを感じてみて下さい。